2020年9月27日の東京新聞 朝刊 特報記事【「同意なき連れ去り」防げ】を読んで

2020年9月27日の東京新聞朝刊特報記事(20面・21面)に、「子どもの連れ去り」と「単独親権」の問題について、【「同意なき連れ去り」防げ】として2頁にわたり大きく掲載されました。さすが要点が的確にまとめられており、大変わかりやすかったです。

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 「子どもの連れ去り」とは、夫婦の別居や離婚に際して、同意なく子どもを連れ去られ、一方の親が子どもと会えなくなることです。日本では警察に訴えても、「親が連れて行った」ということであれば、相手にしてもらえません。

 毎年20万組以上の夫婦が離婚をし、うち子どもがいるケースは12万件もいると本紙で書かれています。では、この「子どもの連れ去り」が、なぜ日本で起きているのでしょうか?

その背景には、日本では離婚後に「単独親権」しか選べないという民法の問題があります。婚姻中は父母が共同で親権を持ちますが、離婚後はどちらかしか親権を持てないのです。(G7の中で単独親権制なのは日本のみ)

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 離婚後に確実に親権を持ちたいとなれば、婚姻中に子どもを配偶者から引き離し(子どもを連れ去る)、別居した家庭で(実家など)子どもと暮らし始めるることが最も親権を得るために有利な環境となります。家裁は「子育ての継続性」を重視しますので、たとえ連れ去ったとしても、今の環境で親子が問題なく暮らしていると判断すれば、その環境を変えることは子どものために良くないとし、連れ去った同居親を親権者に決める傾向が強いのです。

中には、連れ去った親が不貞をはたらいているケースもありますが、それでも親権は認められやすいようです。急に子どもを奪われた側の親は、パートナーに不貞をされ、子どもを連れ去られ、さらには子どもに会わせてもらえない中養育費を払い続けているというケースもあります。この不条理な状況を、泣き寝入りするしか方法がないというのが日本の現状です。

一方、共同親権制度を取り入れている欧米では、子どもから一方の親を引き離すのは虐待とみなされ、連れ去り防止のための方策が定められています。

 本記事の『デスクメモ』に、夫婦は離婚後他人となりますが、親子関係はなくならないということを子どもに理解してもらうことが最後の共同作業であり、それををする前に「子どもの連れ去り」をするというのは解せない。それが単独親権制度によって起こるのであればすぐに変えるべきだという趣旨のコメントがありましたが、その通りだと思いました。
共同親権制度の導入を懸念する声の背景には、パートナーからDVを受けている親子を守りたい等があるかと思いますが、子どもにとって不利益になる場合は単独親権が選択できるようにするなどの対策も含め、子どもの立場を第一に考えた議論が深まることを切に願っております。